東芝SSD HG5d 256GB 高負荷ベンチマーク結果&チューニングTips

TOSHIBA-HG5d-256GB

東芝SSD HG5d 256GB 高負荷ベンチマーク結果&チューニングTips高いI/O負荷を連続して掛けた時に各社のSSDがどのような性能特性を示すか、ベンチマークツールを利用して計測していきます。

今回は東芝SSD HG5dシリーズの256GBモデルが検証対象です。評価が高かったTHNSNS***GBSPシリーズ(砂芝)の後継製品であり、2013年4月の発売開始以来、大人気で品切れ状態が続いていましたが、6月に入ってようやく短納期で入手できるようになりました。amazon等の通販サイトでは常に売り上げランキング上位に入る人気商品になっています。

東芝SSD HG5dシリーズは、俗に言う「マベ芝」のSSD製品で、Marvell製コントローラーをベースにした東芝カスタムコントローラー「TC58NC5HA9GST」と東芝製「19nm MLC NAND Flash」を搭載しています。DRAMキャッシュを搭載していないにも関わらず、Marvellコントローラと東芝NANDの実力によって98,000IOPS以上という高速なランダムアクセス性能を謳う製品ですが、read/writeが混在する高負荷I/Oが30分以上継続した時にも実力を発揮できるでしょうか。

今回の検証では、ベンチマークツールにOracle社が無償で提供する「Oracle ORION」を利用して、NTFSファイルシステムのアロケーションユニットサイズとベンチマークツールが発行するI/Oブロックサイズを調整しながらI/O性能の計測を行いました。SSDのチューニングやシステムのIOPSプランニング時に参考となれば幸いです。

製品仕様

HG5dシリーズの公式仕様・実売価格

今回は東芝SSD HG5dシリーズの256GBモデルが検証対象です。Marvell製コントローラーをベースにした東芝カスタムコントローラー「TC58NC5HA9GST」と東芝製「19nm MLC NAND Flash」を搭載しています。(※ 実売価格は2013年6月現在)

Product
Name
CapacityRead IOPS
(Rand. 4KB)
Write IOPS
(Rand. 4KB)
実売価格
(税・送料込)
CSSD-S6T512NHG5Q512GB98,81651,968¥39,810
CSSD-S6T256NHG5Q256GB98,56051,968¥22,540
CSSD-S6T128NHG5Q128GB96,76849,408¥12,360
  • コントローラ : TC58NC5HA9GST(Marvell製コントローラーをベースにした東芝カスタムコントローラー)
  • インターフェース : SATA3 6Gb/s(SATA2 3Gb/s対応)
  • Nand Type : TOSHIBA 19nm MLC NAND Flash Memory
  • フォームファクター : 2.5 inch SATA
  • 本体サイズ : L 100.0mm × W 69.85mm × H 7.0mm
  • 本体重量 : 53.0g(256GBモデル 本体実測 51.7g)
  • 消費電力 : アクティブ時 3.1W、アイドル時 0.065W
  • 付属品 : 3.5インチ変換マウント用金具
  • 保証期間 : 5年
  • MTBF : 1,500,000時間(約171年)
  • Made in Philippines

検証環境・ベンチマーク実行手順

ハードウェア環境
  • Lenovo IdeaCentre K430
    Core i7-3770 3.4GHz 8MB L3 DMI 5GT/s
    PC3-12800 4GB * 2
    Intel Z75 Express チップセット
    SATA 3 (6.0 Gb/s)
  • 東芝製SSD HG5d 256GB (CFD CSSD-S6T256NHG5Q)
    Firmware Version : HTRAN101
ソフトウェア環境
  • Windows 7 Home Premium Edition SP1 [6.1 Build 7601] (x64)
    Filesystem : NTFS 3.1 (5.1)
  • Oracle ORION 10.2.0.1.0
ベンチマーク実行手順・検証パターン

ORION高負荷ベンチマーク実行手順 – SSD 240GB級

東芝SSD HG5d 256GB 高負荷ベンチマーク結果

I/Oブロックサイズの変更による速度比較

IOPS
Oracle-ORION_BenchmarkResults_IdeaCentre-K430_TOSHIBA-HG5d-256GB_Windows7_01
 
Latency
Oracle-ORION_BenchmarkResults_IdeaCentre-K430_TOSHIBA-HG5d-256GB_Windows7_02
 
MB/sec(Large IO size : 1024 KB)
Oracle-ORION_BenchmarkResults_IdeaCentre-K430_TOSHIBA-HG5d-256GB_Windows7_03
 

ベンチマーク結果考察
  • 今回のベンチマーク結果からは、通常使用ではアロケーションユニットサイズ「4KB」を推奨する。本製品は「4KB」でのI/Oに最適化されていると推測される。動画倉庫等、大きなサイズのファイルを保存する用途では、アロケーションユニットサイズは「16KB」でも良い。
  • HG5dシリーズのページサイズは公表されていないものの、今回のベンチマーク結果からは「4KB」である可能性が高いと考えられる。
  • キャッシュDRAMを搭載していないにも関わらず、I/Oブロックサイズ4KB時のLatency値が0.20~0.25msec付近で安定して推移している点は特に注目に値する。
  • 512MBのキャッシュDRAMを搭載するPLEXTOR M5Pro・Samsung SSD 840 PROでは、一定以上の負荷が掛かるとIOPS値・Latency値が大きく悪化する「キャッシュDRAMの限界点」が存在することを確認した。HG5dではそのような限界点は確認できなかった。
    (参考 : PLEXTOR PX-256M5P 256GB 高負荷ベンチマーク結果&チューニングTips
    (参考 : Samsung SSD 840 PRO 256GB 高負荷ベンチマーク結果&チューニングTips
  • large I/O時のスループットでは、最大71.8MB/secの性能差を計測した。予想通りではあるが、全体的にアロケーションユニットサイズが大きい方がスループット性能が向上する傾向が見て取れる。

他SSD製品とのベンチマーク結果比較

IOPS(Small IO size : 4 KB) ORION_BenchmarkResults_IdeaCentre-K430_SSD-240GB-Class_2013-Autumn_01

Latency(Small IO size : 4 KB) ORION_BenchmarkResults_IdeaCentre-K430_SSD-240GB-Class_2013-Autumn_02

MB/sec(Large IO size : 1024 KB) ORION_BenchmarkResults_IdeaCentre-K430_SSD-240GB-Class_2013-Autumn_03


CrystalDiskMark ベンチマーク結果

ディスク使用領域 0GB
テストデータ ランダムテストデータ 0Fill
CrystalDiskMark_IdeaCentre-K430_TOSHIBA-HG5d-256GBCrystalDiskMark_IdeaCentre-K430_TOSHIBA-HG5d-256GB_0Fill

 

ディスク使用領域 200GB
テストデータ ランダムテストデータ 0Fill
CrystalDiskMark_IdeaCentre-K430_TOSHIBA-HG5d-256GB_200GBfileCrystalDiskMark_IdeaCentre-K430_TOSHIBA-HG5d-256GB_200GBfile_0Fill

 

ベンチマーク結果考察
  • テストデータ ランダム/0FillでCrystalDiskMarkの計測結果に大きな差が生じないことから、HG5dシリーズのコントローラーにはSandForceコントローラーのような圧縮機能は搭載されていないものと推測される。
  • ディスク使用領域200GB時にCrystalDiskMarkの「4K QD32 Write」値が落ち込んでいる点にも注目したい。200GBファイル作成(連続書き込み)後に計測したことが原因になっていると考えられる。HG5dでは連続書き込みを行うとGCが追い付かないケースも想定される。
  • CrystalDiskMarkでの計測結果では、read 500MB/sec、write 473MB/secを確認した。しかしながら、read/writeが混在する高負荷I/Oが30分以上継続するORIONベンチマークでは、296~374MB/secのスループット性能に留まっている。この例が示すように、SSDの評価においては「瞬発力」と「持久力」の違いを意識する必要がある。

CrystalDiskInfo S.M.A.R.T.情報

HG5dでは、S.M.A.R.T.情報の「AD」が消耗度(損耗指数)を表しており、総書き込み量の増加に伴って初期値の「200」から段々と減少していきます。AD値は残り寿命を予測するのに役立ちます。

CrystalDiskInfo_TOSHIBA-HG5d-256GB

240GB級SSDベンチマーク結果

東芝SSD HG5d 256GB 高負荷ベンチマーク速度比較結果
Intel SSD DC S3500 Series 240GB 高負荷ベンチマーク速度比較結果
Intel SSD 730 Series 240GB 高負荷ベンチマーク速度比較結果
Intel SSD 530 Series 240GB 高負荷ベンチマーク速度比較結果
Intel SSD 520 Series 240GB 高負荷ベンチマーク速度比較結果
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PLEXTOR PX-256M5P 256GB 高負荷ベンチマーク速度比較結果
Samsung SSD 840 PRO 256GB 高負荷ベンチマーク速度比較結果
SSD I/Oブロックサイズの調整によるチューニング効果検証 (DC S3700編)
SSD I/Oブロックサイズの調整によるチューニング効果検証 (東芝THNSNS240GBSP編)

参考になるサイト

TOSHIBA – クライアントSSD HG5d・HG5シリーズ