Intel SSD DC S3500 Series 240GB 高負荷ベンチマーク結果&チューニングTips

Intel-SSD-DC-S3500-Series

Intel SSD DC S3500 Series 240GB 高負荷ベンチマーク結果&チューニングTips高いI/O負荷を連続して掛けた時に各社のSSDがどのような性能特性を示すか、ベンチマークツールを利用して計測していきます。

今回は2013年6月に日本国内で販売が開始されたIntel SSD DC S3500 Seriesの240GBモデルが検証対象です。

Intel SSD DC S3500 Seriesでは、上位モデルのDC S3700 Seriesと同じアーキテクチャが採用されています。インテル製の「PC29AS21CA0」コントローラーとMicron製のキャッシュDRAM、さらには突然の電源断時にデータ保護を行うキャパシタ(the power loss capacitor)を搭載しており、これぞまさにデータセンター向けのSSDと言える製品に仕上がっています。ちなみに、S3700とS3500の構造的な違いは、S3700がより信頼性の高い「HET-MLC NAND」を搭載している点です。

2013年5月に実施したS3700の高負荷ベンチマークでは、S3700が現行製品最速クラスの高速応答性能を発揮することを確認しました。あとはS3700の販売価格がもう少し下がれば自作PC用途での利用も広がるのになぁ…という印象だったのですが、そこに価格をS3700の約半分に抑えたS3500が投入されてきた訳です。筆者としては、S3500の高速応答性能に特に期待して今回の検証を実施しました。
(参考 : SSD I/Oブロックサイズの調整によるチューニング効果検証 (DC S3700編)

S3700の高負荷ベンチマークと同じく、read/writeが混在する高負荷I/Oが30分以上継続した時にどの程度の性能が発揮できるかを検証します。ベンチマークツールにはOracle社が無償で提供する「Oracle ORION」を利用して、NTFSファイルシステムのアロケーションユニットサイズとベンチマークツールが発行するI/Oブロックサイズを調整しながらI/O性能の計測を行いました。SSDのチューニングやシステムのIOPSプランニング時に参考となれば幸いです。

製品仕様

Intel SSD DC S3500 Series の公式仕様・実売価格

今回はIntel SSD DC S3500 Seriesの240GBモデルを検証します。データセンター向けのSSD製品というだけあって、サーバのOS起動ディスクに向きそうな80GBモデルから、仮想化統合環境やデータベース環境等の格納に向く800GBモデルまで、豊富な製品ラインナップが用意されています。

なお、「160GB以下の製品モデルにはインテル製コントローラーが搭載されていない」という情報もあります。コントローラーが異なると性能特性も全く異なる可能性が有るのでご注意下さい。

Product
Name
CapacityRead IOPS
(Rand. 4KB)
Write IOPS
(Rand. 4KB)
実売価格
(税・送料込)
SSDSC2BB800G401800GB75,00011,500¥104,800
SSDSC2BB600G401600GB75,00011,000¥76,800
SSDSC2BB480G401480GB75,00011,000¥58,900
SSDSC2BB400G401400GB75,00011,000(未発売)
SSDSC2BB300G401300GB75,0009,000¥38,000
SSDSC2BB240G401240GB75,0007,500¥27,745
SSDSC2BB160G401160GB75,0007,500¥17,800
SSDSC2BB120G401120GB75,0004,600¥14,800
SSDSC2BB080G40180GB70,0007,000¥10,800
インテル製SSD 最新3製品の仕様比較

インテル製SSDの最新3兄弟、Intel SSD DC S3500 Series、Intel SSD 530 Series、Intel SSD 335 Seriesの製品仕様を一覧表にまとめました。

DC S3500 Series
240GB
530 Series
240GB
335 Series
240GB
Product NameSSDSC2BB240G401SSDSC2BW240A401-
実売価格¥27,745¥23,398-
リテールBOX-SSDSC2BW240A4K5SSDSC2CT240A4K5
実売価格-¥21,380¥19,224
コントローラーIntel PC29AS21CA0SandForce SF-2281SandForce SF-2281
インターフェースSATA3 6Gb/sSATA3 6Gb/sSATA3 6Gb/s
NAND FlashIntel 20nm MLCIntel 20nm MLCIntel 20nm MLC
キャッシュメモリ搭載--
キャパシタ搭載--
Rand. Read IOPS75,00041,00042,000
Rand. Write IOPS7,50080,00052,000
本体サイズL 100.45mm
W 69.85mm
H 7.0mm
L 100.45mm
W 69.85mm
H 7.0mm
L 100.45mm
W 69.85mm
H 9.5mm
本体重量70g±2g
(実測 67.8g)
78g
(実測 67.0g)
78g
(実測 81.8g)
消費電力アクティブ時 3.5W
アイドル時 0.65W
アクティブ時 0.195W
アイドル時 0.125W
アクティブ時 0.350W
アイドル時 0.275W
保証期間5年5年3年
Endurance
(書き込み寿命)
140TBW
78.5GB write/day
36.5TBW
20GB write/day
21.4TBW
20GB write/day
MTBF2,000,000時間
(約228年)
1,200,000時間
(約137年)
1,200,000時間
(約137年)
Made inChinaChinaChina
付属品SPEED DEMONシールSPEED DEMONシールSPEED DEMONシール
付属品
(リテールBOX版)
-SATA3対応ケーブル
4-15pin電源ケーブル
3.5インチマウンタ
9.5mm変換スペーサー
CD-ROM
SATA3対応ケーブル
4-15pin電源ケーブル
3.5インチマウンタ
CD-ROM
Intel SSD Toolboxバージョン3.0.3
動作確認済み
バージョン3.0.3
動作確認済み
バージョン3.0.3
動作確認済み
Intel Data
Migration Software
バージョン2.0
動作確認済み
バージョン2.0
動作確認済み
バージョン2.0
動作確認済み

検証環境・ベンチマーク実行手順

ハードウェア環境
  • Lenovo IdeaCentre K430
    Core i7-3770 3.4GHz 8MB L3 DMI 5GT/s
    PC3-12800 4GB * 2
    Intel Z75 Express チップセット
    SATA 3 (6.0 Gb/s)
  • Intel SSD DC S3500 Series 240GB (SSDSC2BB240G401)
    Firmware Version : D2010355
ソフトウェア環境
  • Windows 7 Home Premium Edition SP1 [6.1 Build 7601] (x64)
    Filesystem : NTFS 3.1 (5.1)
  • Oracle ORION 10.2.0.1.0
ベンチマーク実行手順・検証パターン

ORION高負荷ベンチマーク実行手順 – SSD 240GB級

Intel SSD DC S3500 Series 240GB 高負荷ベンチマーク結果

I/Oブロックサイズの変更による速度比較

IOPS
Oracle-ORION_BenchmarkResults_IdeaCentre-K430_Intel-SSD-DC-S3500-240GB_Windows7_01
 
Latency
Oracle-ORION_BenchmarkResults_IdeaCentre-K430_Intel-SSD-DC-S3500-240GB_Windows7_02
 
MB/sec(Large IO size : 1024 KB)
Oracle-ORION_BenchmarkResults_IdeaCentre-K430_Intel-SSD-DC-S3500-240GB_Windows7_03
 

ベンチマーク結果考察
  • 1スレッドでの負荷生成時から最大7,738IOPSを発揮している。また、I/Oブロックサイズ4KB時のLatency値が0.14~0.24msec付近で安定して推移している点は特に注目に値する。この安定した高速応答性能は、PC29AS21CA0コントローラーとMicron製キャッシュDRAMを搭載するIntel SSD DC S3500 Seriesが持つ最大の特徴である。
  • 今回のベンチマーク結果からは、通常使用ではアロケーションユニットサイズ「4KB」を推奨する。本製品は「4KB」でのI/Oに最適化されていると推測される。
  • Intel SSD DC S3500 Seriesのページサイズは公表されていないものの、今回のベンチマーク結果からは「4KB」である可能性が高いと考えられる。
  • Windows OS 及び Oracle DBのデフォルト値であるアロケーションユニットサイズ4KB・I/Oブロックサイズ8KBの組み合わせ(検証パターンNo.4、グラフ上の緑線)は、ページサイズが4KBのSSD環境では性能面で不利となる可能性が高い。アロケーションユニットサイズ4KB・I/Oブロックサイズ4KBの組み合わせ(検証パターンNo.3、グラフ上の赤線)に変更することによって、システムのワークロードによっては1.16~2.1倍のIOPSを発揮できる可能性がある。
  • I/Oブロックサイズを4KBから2KBや1KBに変更することで、システムのワークロードによってはさらに1.03~1.12倍のIOPSを発揮できる可能性がある。

他SSD製品とのベンチマーク結果比較

IOPS(Small IO size : 4 KB) ORION_BenchmarkResults_IdeaCentre-K430_SSD-240GB-Class_2013-Autumn_01

Latency(Small IO size : 4 KB) ORION_BenchmarkResults_IdeaCentre-K430_SSD-240GB-Class_2013-Autumn_02

MB/sec(Large IO size : 1024 KB) ORION_BenchmarkResults_IdeaCentre-K430_SSD-240GB-Class_2013-Autumn_03


ベンチマーク結果考察
  • 上位モデルのIntel SSD DC S3700 Series(200GB)と比較すると、IOPS値・Latency値・スループット性能共にDC S3700 Seriesを若干下回る結果となった。S3700とS3500の構造的な違いは「HET-MLC NAND」の搭載有無のみであることから、S3500ではコントローラーが上限性能を制限しているものと思われる。
    (参考 : SSD I/Oブロックサイズの調整によるチューニング効果検証 (DC S3700編)
  • コンシューマー向けモデルのIntel SSD 530 Seriesと比較すると、IOPS値・Latency値は530 Seriesを上回り、スループット性能では530 Seriesを下回る結果となった。530 Seriesは、SandForceコントローラー「SF-2281」の圧縮アルゴリズムによって、高速なスループット性能を発揮している。これに対して、データセンター向けモデルのDC S3500 Seriesでは、圧縮の利かないデータに対しても高速なスループット性能を安定して発揮するように設計されているため、このような性能特性の差が生じるものと推測される。
    (参考 : Intel SSD 530 Series 240GB 高負荷ベンチマーク結果&チューニングTips

CrystalDiskMark ベンチマーク結果

ディスク使用領域 0GB
テストデータ ランダムテストデータ 0Fill
CrystalDiskMark_IdeaCentre-K430_Intel-SSD-DC-S3500-Series-240GBCrystalDiskMark_IdeaCentre-K430_Intel-SSD-DC-S3500-Series-240GB_0Fill

 

ディスク使用領域 200GB
テストデータ ランダムテストデータ 0Fill
CrystalDiskMark_IdeaCentre-K430_Intel-SSD-DC-S3500-Series-240GB_200GBfileCrystalDiskMark_IdeaCentre-K430_Intel-SSD-DC-S3500-Series-240GB_200GBfile_0Fill

 

ベンチマーク結果考察
  • テストデータ ランダム/0FillでCrystalDiskMarkの計測結果に大きな差が生じないことから、DC S3500 SeriesのコントローラーにはSandForceコントローラーのような圧縮機能は搭載されていないものと推測される。
  • ディスク使用領域200GB時にCrystalDiskMarkの計測値が全く落ち込まない点は注目に値する。「データセンター向けSSD」を謳う本製品では、インテルの本気が見て取れる。
  • CrystalDiskMarkでの計測結果では、read 412MB/sec、write 285MB/secを確認した。しかしながら、read 80% / write 20%の混在する高負荷I/Oが30分以上継続するORIONベンチマークでは、214~327MB/secのスループット性能に留まっている。この例が示すように、SSDの評価においては「瞬発力」と「持久力」の違いを意識する必要がある。

CrystalDiskInfo S.M.A.R.T.情報

CrystalDiskInfo_Intel-SSD-DC-S3500-Series-240GB

240GB級SSDベンチマーク結果

東芝SSD HG5d 256GB 高負荷ベンチマーク速度比較結果
Intel SSD DC S3500 Series 240GB 高負荷ベンチマーク速度比較結果
Intel SSD 730 Series 240GB 高負荷ベンチマーク速度比較結果
Intel SSD 530 Series 240GB 高負荷ベンチマーク速度比較結果
Intel SSD 520 Series 240GB 高負荷ベンチマーク速度比較結果
Intel SSD 335 Series 240GB 高負荷ベンチマーク速度比較結果
PLEXTOR PX-256M5P 256GB 高負荷ベンチマーク速度比較結果
Samsung SSD 840 PRO 256GB 高負荷ベンチマーク速度比較結果
SSD I/Oブロックサイズの調整によるチューニング効果検証 (DC S3700編)
SSD I/Oブロックサイズの調整によるチューニング効果検証 (東芝THNSNS240GBSP編)

参考になるサイト

Intel – Intel Solid-State Drive DC S3500 シリーズ
Tom’s Hardware – The SSD DC S3500 Review: Intel’s 6 Gb/s Controller And 20 nm NAND
ZIGSOW – インテル Solid-State Drive DC S3500 ギリギリ限界チャレンジ