Intel SSD 335 Series 240GB 高負荷ベンチマーク結果&チューニングTips
高いI/O負荷を連続して掛けた時に各社のSSDがどのような性能特性を示すか、ベンチマークツールを利用して計測していきます。
今回は2012年10月に日本国内で販売が開始されたIntel SSD 335 Seriesの240GBモデルが検証対象です。330 Seriesの後継となるインテルのメインストリーム向け主力製品であり、amazon等の通販サイトでは常に売り上げランキング上位に入る人気商品です。
Intel SSD 335 Seriesは、330 Seriesを踏襲してSandForceコントローラー「SF-2281」を搭載しており、圧縮アルゴリズムを活かした高速なスループット性能を安定して発揮することが予想されます。SandForceコントローラーを搭載する製品は「直線番長」「0fill番長」等とも揶揄されますが、read/writeが混在する高負荷I/Oが30分以上継続した時にも実力を発揮できるでしょうか。
今回の検証では、ベンチマークツールにOracle社が無償で提供する「Oracle ORION」を利用して、NTFSファイルシステムのアロケーションユニットサイズとベンチマークツールが発行するI/Oブロックサイズを調整しながらI/O性能の計測を行いました。SSDのチューニングやシステムのIOPSプランニング時に参考となれば幸いです。
製品仕様
Intel SSD 335 Series の公式仕様・実売価格
今回はIntel SSD 335 Seriesの240GBモデルを検証します。売れ筋になるはずの120GBモデルが無いという不思議な製品ラインナップですね。加えて、80GBモデルは価格が高めに設定されており流通量も少ないようです。インテルは、メインストリーム向けの335 Seriesでは240GBモデルと180GBモデルを集中的に生産することによって容量単価を抑える戦略を採っていると推測されます。
Product Name | Capacity | Read IOPS (Rand. 4KB) | Write IOPS (Rand. 4KB) | 実売価格 (税・送料込) |
SSDSC2CT240A4K5 | 240GB | 42,000 | 52,000 | ¥19,224 |
SSDSC2CT180A4K5 | 180GB | 42,000 | 52,000 | ¥13,700 |
SSDSC2CT080A4K5 | 80GB | 15,000 | 25,000 | ¥10,000 |
インテル製SSD 最新3製品の仕様比較
インテル製SSDの最新3兄弟、Intel SSD DC S3500 Series、Intel SSD 530 Series、Intel SSD 335 Seriesの製品仕様を一覧表にまとめました。
DC S3500 Series 240GB | 530 Series 240GB | 335 Series 240GB | |
Product Name | SSDSC2BB240G401 | SSDSC2BW240A401 | - |
実売価格 | ¥27,745 | ¥23,398 | - |
リテールBOX | - | SSDSC2BW240A4K5 | SSDSC2CT240A4K5 |
実売価格 | - | ¥21,380 | ¥19,224 |
コントローラー | Intel PC29AS21CA0 | SandForce SF-2281 | SandForce SF-2281 |
インターフェース | SATA3 6Gb/s | SATA3 6Gb/s | SATA3 6Gb/s |
NAND Flash | Intel 20nm MLC | Intel 20nm MLC | Intel 20nm MLC |
キャッシュメモリ | 搭載 | - | - |
キャパシタ | 搭載 | - | - |
Rand. Read IOPS | 75,000 | 41,000 | 42,000 |
Rand. Write IOPS | 7,500 | 80,000 | 52,000 |
本体サイズ | L 100.45mm W 69.85mm H 7.0mm | L 100.45mm W 69.85mm H 7.0mm | L 100.45mm W 69.85mm H 9.5mm |
本体重量 | 70g±2g (実測 67.8g) | 78g (実測 67.0g) | 78g (実測 81.8g) |
消費電力 | アクティブ時 3.5W アイドル時 0.65W | アクティブ時 0.195W アイドル時 0.125W | アクティブ時 0.350W アイドル時 0.275W |
保証期間 | 5年 | 5年 | 3年 |
Endurance (書き込み寿命) | 140TBW 78.5GB write/day | 36.5TBW 20GB write/day | 21.4TBW 20GB write/day |
MTBF | 2,000,000時間 (約228年) | 1,200,000時間 (約137年) | 1,200,000時間 (約137年) |
Made in | China | China | China |
付属品 | SPEED DEMONシール | SPEED DEMONシール | SPEED DEMONシール |
付属品 (リテールBOX版) | - | SATA3対応ケーブル 4-15pin電源ケーブル 3.5インチマウンタ 9.5mm変換スペーサー CD-ROM | SATA3対応ケーブル 4-15pin電源ケーブル 3.5インチマウンタ CD-ROM |
Intel SSD Toolbox | バージョン3.0.3 動作確認済み | バージョン3.0.3 動作確認済み | バージョン3.0.3 動作確認済み |
Intel Data Migration Software | バージョン2.0 動作確認済み | バージョン2.0 動作確認済み | バージョン2.0 動作確認済み |
検証環境・ベンチマーク実行手順
ハードウェア環境
- Lenovo IdeaCentre K430
Core i7-3770 3.4GHz 8MB L3 DMI 5GT/s
PC3-12800 4GB * 2
Intel Z75 Express チップセット
SATA 3 (6.0 Gb/s) - Intel SSD 335 Series 240GB (SSDSC2CT240A4K5)
Firmware Version : 335t
ソフトウェア環境
- Windows 7 Home Premium Edition SP1 [6.1 Build 7601] (x64)
Filesystem : NTFS 3.1 (5.1) - Oracle ORION 10.2.0.1.0
ベンチマーク実行手順・検証パターン
ORION高負荷ベンチマーク実行手順 – SSD 240GB級
Intel SSD 335 Series 240GB 高負荷ベンチマーク結果
I/Oブロックサイズの変更による速度比較
IOPS
Latency
MB/sec(Large IO size : 1024 KB)
ベンチマーク結果考察
- 今回のベンチマーク結果からは、通常使用ではアロケーションユニットサイズ「4KB」を推奨する。本製品は「4KB」でのI/Oに最適化されていると推測される。動画倉庫等、大きなサイズのファイルを保存する用途では、アロケーションユニットサイズは「16KB」でも良い。
- I/Oブロックサイズ1KBと8KBを比較してもIOPS値・Latency値に大きな変化は見られない。Intel SSD 335 Seriesのページサイズは公表されていないものの、今回のベンチマーク結果からは「8KB」である可能性が高いと考えられる。
- I/Oブロックサイズを4KBから2KBや1KBに変更することで、IOPS値・Latency値が逆に悪くなっており、積極的に採用するチューニング方法にはなり得ない。
- large I/O時のスループットでは、アロケーションユニットサイズ1KBから16KBまでほぼ同等のMB/sec値を記録している。計測回によってスループット性能にブレが生じることがなく、高い性能を発揮し続けている。この安定したスループット性能は、SF-2281コントローラー搭載のIntel SSD 335 Seriesが持つ最大の特徴である。
他SSD製品とのベンチマーク結果比較
IOPS(Small IO size : 4 KB)Latency(Small IO size : 4 KB)
MB/sec(Large IO size : 1024 KB)
ベンチマーク結果考察
- 今回比較した8製品の中で、IOPS値・Latency値は最低レベルに留まっている。ただし、他の7製品が各社のフラグシップモデルを選定しているのに対して、335 Seriesはインテルが価格を抑えてSSDの普及を狙うメインストリーム向け製品である。この点は差し引いてベンチマーク結果を参照して頂きたい。
- フラグシップモデルのIntel SSD 530 Seriesと比較すると、IOPS値・Latency値は530 Seriesに劣るものの、スループット性能は530 Seriesとほぼ同等という結果となった。335 Seriesは530 Seriesより安価に購入可能であるため、動画倉庫等、大きなサイズのファイルを保存する用途では、335 Seriesの方がコストパフォーマンスが良いと言える。
(参考 : Intel SSD 530 Series 240GB 高負荷ベンチマーク結果&チューニングTips )
CrystalDiskMark ベンチマーク結果
ディスク使用領域 0GB
テストデータ ランダム | テストデータ 0Fill |
ディスク使用領域 200GB
テストデータ ランダム | テストデータ 0Fill |
ベンチマーク結果考察
- SandForceコントローラーが搭載する圧縮機能によって、テストデータ「0Fill」の計測ではランダムデータより性能が向上している。性能向上の度合は、シーケンシャルreadで最大1.13倍、シーケンシャルwriteで最大1.55倍、ランダムreadで最大1.32倍、ランダムwriteで最大1.2倍であり、特にwrite処理において大きな性能向上が確認できる。
- CrystalDiskMarkでの計測結果では、ディスク使用領域200GB時にRead性能が若干向上する結果となった。Intel SSD 530 Seriesでは同条件での計測時にRead性能が低下したが、335 Seriesではそのような問題は確認していない。同じSandForceコントローラーSF-2281シリーズを搭載する両製品で、このような性能特性の差が生じる理由は不明である。
(参考 : Intel SSD 530 Series 240GB 高負荷ベンチマーク結果&チューニングTips )
240GB級SSDベンチマーク結果
東芝SSD HG5d 256GB 高負荷ベンチマーク速度比較結果
Intel SSD DC S3500 Series 240GB 高負荷ベンチマーク速度比較結果
Intel SSD 730 Series 240GB 高負荷ベンチマーク速度比較結果
Intel SSD 530 Series 240GB 高負荷ベンチマーク速度比較結果
Intel SSD 520 Series 240GB 高負荷ベンチマーク速度比較結果
Intel SSD 335 Series 240GB 高負荷ベンチマーク速度比較結果
PLEXTOR PX-256M5P 256GB 高負荷ベンチマーク速度比較結果
Samsung SSD 840 PRO 256GB 高負荷ベンチマーク速度比較結果
SSD I/Oブロックサイズの調整によるチューニング効果検証 (DC S3700編)
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