Intel SSD 730 Series 高負荷ベンチマーク速度比較結果
read/writeが混在する高負荷I/Oを連続して掛けた時に各社のSSDがどのような性能特性を示すか、ベンチマークソフトで計測して各メーカーが誇るフラグシップモデルと速度比較を行います。
今回は2014年3月に日本国内で販売が開始されたIntel SSD 730 Seriesの240GBモデルが検証対象です。
730 Seriesは、インテルが「データセンター向けSSD」と位置付けるDC S3700 Series・DC S3500 Seriesのアーキテクチャをベースに開発して、コンシューマー市場向けに投入した製品です。2013年に実施したDC S3700・DC S3500のベンチマークでは、インテルDCシリーズが現行製品最速クラスの高速応答性能を発揮することを確認しました。今回は、730 SeriesがインテルDCシリーズのDNAをどこまで受け継いでいるのか、ベンチマークによって明確にします。
製品仕様
Intel SSD 730 Series の公式仕様・実売価格
今回はIntel SSD 730 Seriesの240GBモデルを検証します。2014年3月現在、730 Seriesで発売されている製品は480GB・240GBの2モデルです。(※ 実売価格は2014年4月現在)
Product Name | Capacity | Read IOPS (Rand. 4KB) | Write IOPS (Rand. 4KB) | 実売価格 (税・送料込) |
SSDSC2BP480G4R5 | 480GB | 89,000 | 74,000 | ¥53,460 |
SSDSC2BP240G4R5 | 240GB | 86,000 | 56,000 | ¥25,704 |
インテル製SSD 最新3製品の仕様比較
インテル製SSDの最新3兄弟、Intel SSD DC S3500 Series、Intel SSD 730 Series、Intel SSD 530 Seriesの製品仕様を一覧表にまとめました。
730 Seriesは、インテルがエンタープライズ市場向けに開発した「PC29AS21CA0」コントローラーを搭載し、かつ消費電力は兄貴分であるDC S3500 Seriesを上回るという、コンシューマー市場向け製品としてはなかなか過激な設計思想で開発された製品であることが分かります。本体にドクロマークを冠するのはこのあたりに理由があるのでしょうか。裏を返せば、パフォーマンスの観点では大いに期待を抱かせるスペック値になっています。
もう一つの大きな特徴はEndurance(書き込み寿命・書き込み耐久性)の値でしょう。近年のインテル製SSDでは、書き込み寿命の目安がEnduranceの値で公表されているので、SSDの用途に応じて必要な製品寿命を持った製品を選定できます。730 Seriesは、書き込み寿命の観点でも、従来のコンシューマー市場向け製品とは一線を画していることが分かります。
DC S3500 Series 240GB | 730 Series 240GB | 530 Series 240GB | |
Product Name | SSDSC2BB240G401 | SSDSC2BP240G410 | SSDSC2BW240A401 |
実売価格 | ¥27,745 | ¥24,840 | ¥23,398 |
リテールBOX | - | SSDSC2BP240G4R5 | SSDSC2BW240A4K5 |
実売価格 | - | ¥25,704 | ¥21,380 |
コントローラー | Intel PC29AS21CA0 | Intel PC29AS21CA0 | SandForce SF-2281 |
インターフェース | SATA3 6Gb/s | SATA3 6Gb/s | SATA3 6Gb/s |
NAND Flash | Intel 20nm MLC | Intel 20nm MLC | Intel 20nm MLC |
キャッシュメモリ | 搭載 | 搭載 | - |
キャパシタ | 搭載 | 搭載 | - |
Rand. Read IOPS | 75,000 | 86,000 | 41,000 |
Rand. Write IOPS | 7,500 | 56,000 | 80,000 |
本体サイズ | L 100.45mm W 69.85mm H 7.0mm | L 100.45mm W 69.85mm H 7.0mm | L 100.45mm W 69.85mm H 7.0mm |
本体重量 | 70g±2g (実測 67.8g) | 78g (実測 66.4g) | 78g (実測 67.0g) |
消費電力 | アクティブ時 3.5W アイドル時 0.65W | アクティブ時 5.0W アイドル時 1.3W | アクティブ時 0.195W アイドル時 0.125W |
保証期間 | 5年 | 5年 | 5年 |
Endurance (書き込み寿命) | 140TBW 78.5GB write/day | 91TBW 50GB write/day | 36.5TBW 20GB write/day |
MTBF | 2,000,000時間 (約228年) | 2,000,000時間 (約228年) | 1,200,000時間 (約137年) |
Made in | China | China | China |
付属品 | SPEED DEMONシール | SPEED DEMONシール | SPEED DEMONシール |
付属品 (リテールBOX版) | - | SATA3対応ケーブル CD-ROM | SATA3対応ケーブル 4-15pin電源ケーブル 3.5インチマウンタ 9.5mm変換スペーサー CD-ROM |
Intel SSD Toolbox | バージョン3.0.3 動作確認済み | バージョン3.2.1 動作確認済み | バージョン3.0.3 動作確認済み |
Intel Data Migration Software | バージョン2.0 動作確認済み | バージョン2.0 動作確認済み | バージョン2.0 動作確認済み |
検証環境
ハードウェア環境
- Lenovo IdeaCentre K430
Core i7-3770 3.4GHz 8MB L3 DMI 5GT/s
PC3-12800 4GB * 2
Intel Z75 Express チップセット
SATA 3 (6.0 Gb/s) - Intel SSD 730 Series 240GB (SSDSC2BP240G4R5)
Firmware Version : L2010410
ソフトウェア環境
- Windows 7 Home Premium Edition SP1 [6.1 Build 7601] (x64)
Filesystem : NTFS 3.1 (5.1) - Oracle ORION 10.2.0.1.0
- CrystalDiskMark 3.0.3 (x64)
Oracle ORION 高負荷ベンチマーク速度比較結果
ベンチマーク実行手順・検証パターン
ディスクIO性能ベンチマークソフト「Oracle ORION」を用いて、SSDに対してread/writeが混在する高負荷を30分以上連続して掛けながら、SSDの速度性能を計測します。検証パターンとしては、読み込み中心の利用状態を模した「read 80% / write 20%」のベンチマークと、書き込み中心の利用状態を模した「read 20% / write 80%」のベンチマーク、この2パターンで速度比較を行います。240GB級のSSDでは、SSD上に合計160GB(10GB×16)の計測用ファイルを作成して、同ファイル群の全域に対するI/O性能を計測します。これによって、SSDが内蔵するキャッシュメモリの影響を極小化すると共に、実利用時のディスク使用率に近い状態でSSDの速度性能を比較することができます。
詳細なベンチマーク実行手順はこちらのページに記載しているので、参考にして下さい。
ORION高負荷ベンチマーク実行手順 - SSD 240GB級
ベンチマーク結果 - read 80% / write 20%
読み込み中心の利用状態を模した「read 80% / write 20%」のベンチマーク結果のグラフです。各メーカーが誇るフラグシップモデルとIOPS・Latency・スループット性能を比較できます(同一の検証環境・条件で計測)。グラフをクリックすると拡大グラフを表示します。IOPS(I/O size : 4 KB)
Latency(I/O size : 4 KB)
MB/sec(I/O size : 1024 KB)
- Intel SSD 730 Seriesは、1スレッドでの負荷生成時から7,423IOPSを発揮している。また、Latency値が0.13~0.22msec付近で安定して推移している点は特に注目に値する。730 Seriesは、インテルDCシリーズの高速応答性能を見事に受け継いでいる。
- Intel SSD DC S3700 Series(200GB)と比較すると、730 SeriesのIOPS・Latency・スループット性能はDC S3700 Seriesを下回る結果となった。DC S3700 Seriesと730 Seriesの構造的な違いは「HET-MLC NAND」の搭載有無のみであることから、730 Seriesではコントローラーが上限性能を制限しているものと推測される。
- Intel SSD DC S3500 Seriesと比較すると、730 SeriesのIOPS・LatencyはDC S3500 Seriesを上回る結果となった。
- Intel SSD 530 Seriesと比較すると、IOPS・Latencyは530 Seriesを上回り、スループット性能では530 Seriesを下回る結果となった。530 Seriesは、SandForceコントローラー「SF-2281」の圧縮アルゴリズムによって、高速なスループット性能を発揮している。これに対して、730 Seriesでは、圧縮の利かないデータに対しても高速なスループット性能を安定して発揮するように設計されているため、このような性能特性の差が生じるものと思われる。
ベンチマーク結果 - read 20% / write 80%
書き込み中心の利用状態を模した「read 20% / write 80%」のベンチマーク結果のグラフです。IOPS(I/O size : 4 KB)
Latency(I/O size : 4 KB)
MB/sec(I/O size : 1024 KB)
- Intel SSD 730 Seriesは、1スレッドでの負荷生成時から8,877IOPSを発揮している。また、Latency値が0.11~0.29msec付近で安定して推移している点は特に注目に値する。730 Seriesは、書き込み性能でもインテルDCシリーズの高速応答性能を見事に受け継いでいる。
- Intel SSD DC S3700 Series(200GB)と比較すると、730 SeriesのIOPS・Latency・スループット性能はDC S3700 Seriesを下回る結果となった。
- Intel SSD DC S3500 Seriesと比較すると、730 SeriesのIOPS・Latency・スループット性能はDC S3500 Seriesを上回る結果となった。
- Intel SSD 530 Seriesの性能が突出しているように見えるが、ORIONが発行するテストデータが「0Fill」であるため、これは参考値として捉えるべきであろう。530 Seriesの「0Fill」時の性能向上度合は、シーケンシャルreadで最大1.12倍、シーケンシャルwriteで最大1.54倍、ランダムreadで最大1.14倍、ランダムwriteで最大1.2倍であることを確認している。
(参考 : Intel SSD 530 Series 240GB 高負荷ベンチマーク結果&チューニングTips )
CrystalDiskMark ベンチマーク結果
ディスク使用領域 0GB
テストデータ ランダム | テストデータ 0Fill |
ディスク使用領域 200GB
テストデータ ランダム | テストデータ 0Fill |
ベンチマーク結果考察
- テストデータ ランダム/0FillでCrystalDiskMarkの計測結果に大きな差が生じないことから、Intel SSD 730 SeriesのPC29AS21CA0コントローラーにはSandForceコントローラーのような圧縮機能は搭載されていないものと推測される。
- ディスク使用領域200GB時にCrystalDiskMarkの計測値が全く落ち込まない点は注目に値する。DC S3700・DC S3500という「データセンター向けSSD」をベースに開発された本製品では、実環境におけるパフォーマンスが重視されており、ディスク使用率が90%に達した状態でも速度低下が発生しないことが分かる。
CrystalDiskInfo S.M.A.R.T.情報
240GB級SSDベンチマーク結果
東芝SSD HG5d 256GB 高負荷ベンチマーク速度比較結果
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