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情報処理技術者試験で出題された「ITIL」関連の過去問題集&解説

2005年頃から、情報処理技術者試験の午前問題において、ITILに関連する出題が見られるようになっています。ここでは、ITIL関連の過去問を集め、出題傾向と対策をお伝えします。

まず、対策の第一段階としては、このページに掲載されている問題をぱっと見ただけでスラスラと解答できることを目指して下さい。テクニカルエンジニアをはじめとする高度試験やソフトウェア開発技術者試験の午前問題では、他試験で過去に出題された問題が繰り返し出題されることが知られています。

過去問題を見て少しでも不安を感じた方は、対策の第二段階へ。(と言っても、難しいことはありません。)
こちらのページ の「ITIL基礎解説」をご覧頂き、ITILの中心に位置付けられる2つのカテゴリ「サービスサポート」と「サービスデリバリ」に含まれる機能・プロセス群(合計11)の定義や位置付けをしっかりと把握して下さい。情報処理技術者試験はITILに特化して詳細な知識を問う試験ではないので、この「ITIL基礎解説」レベルの知識を押さえていれば、試験対策としては十分です。

このページの情報を参考にして頂き、ITIL関連の問題は自信を持って解答できる“得点源”にして頂ければと思います。最後に、他にも出題箇所をご存じの方は メール にてご連絡頂けると幸いです。

公開日:2007/08/18  更新日:2010/01/30

 過去問 1


問題

ITIL(Information Technology Infrastructure Library)では、利用部門が業務要件に合わせて必要なITサービスをいつでも利用できるように、運用管理部門の管理業務プロセスとして可用性管理を定義している。可用性管理プロセスの業務に該当するものはどれか。

ア  ITサービスが中断した際の迅速な対応と復旧
イ  ITサービスに必要なサーバの処理能力の確保
ウ  障害の予防
エ  利用部門からの問合せへの対応


解答  「ウ」  ← 解答を確認する際はこちらを範囲選択して下さい。


説明

ITILの「可用性管理」プロセスについて、その業務内容を問う問題です。

「可用性」というキーワードからは、「ア」か「ウ」の選択で迷ってしまうところですが、「ITILでの分類はどうなっているか?」という観点で考えると、「ア」は「可用性管理」ではなく「インシデント管理」に分類されると判断できます。


出題履歴

2005年秋期 テクニカルエンジニア(ネットワーク) 問19
2005年秋期 上級システムアドミニストレータ 問22
2005年秋期 AN/PM/AE 午前共通 問28
2007年春期 テクニカルエンジニア(システム管理) 問29


 過去問 2


問題

SLA の説明はどれか。

ア  開発から保守までのソフトウェアライフサイクルプロセス
イ  サービスの品質に開する利用者と提供者間の合意
ウ  システムの運用手法を体系化したフレームワーク
エ  製品ベンダの品質マネジメントシステムに関する国際規格


解答  「イ」  ← 解答を確認する際はこちらを範囲選択して下さい。


説明

「SLA」という用語の定義を問う問題です。

この問題は「ITIL」が選択肢の中に登場した出題例で、どれが「SLA」の説明に当てはまるのか自信が無かったとしても、ITILを説明している「ウ」は消去法で除くことができるはずです。
情報処理技術者試験において、このような文言でITILが説明されていることは押さえておきましょう。


出題履歴

2006年秋期 テクニカルエンジニア(ネットワーク) 問19
2006年秋期 上級システムアドミニストレータ 問21
2006年秋期 情報セキュリティアドミニストレータ 問13
2006年秋期 AN/PM/AE 午前共通 問25


参考ページ

 @IT 情報マネジメント用語事典 - SLA (サービスレベル・アグリーメント)





 過去問 3


問題

ITILにおけるサービスサポートのプロセスはどれか。

ア  可用性管理
イ  キャパシティ管理
ウ  サービスレベル管理
エ  変更管理


解答  「エ」  ← 解答を確認する際はこちらを範囲選択して下さい。


説明

ITILの「サービスサポート」と「サービスデリバリ」に含まれる機能・プロセス群(合計11)を、それぞれに分類した上で把握していることが求められる問題です。

ITILファンデーションの資格保持者にとっては、この問題は簡単に解答を導き出せる“サービス問題”でしたね。繰り返しになりますが、少しでも不安を感じられた方は、こちらのページ の「ITIL基礎解説」をご覧頂き、ITILの中心に位置付けられる2つのカテゴリ「サービスサポート」と「サービスデリバリ」に含まれる機能・プロセス群(合計11)の定義や位置付けをしっかりと把握して下さい。


出題履歴

2007年春期 テクニカルエンジニア(情報セキュリティ) 問10
2007年春期 ソフトウェア開発技術者 問50


 過去問 4


問題

ITサービスマネジメントのフレームワークであるITIL(Information Technology Infrastructure Library)におけるITサービス継続性管理の目的はどれか。

ア  自然災害などの非日常的な要因でシステムが停止した場合の対策を立て、ビジネスへの影響を許容範囲内に収める。
イ  日常的なハードウェア障害やソフトウェア不良による障害から業務処理が正常にできるまでに復旧させる。
ウ  ビジネス活動に必要なシステムを、必要なときに利用可能であるように保証する。
エ  未知の問題が発生したときに、その問題を回避するための方策を立案する。


解答  「ア」  ← 解答を確認する際はこちらを範囲選択して下さい。


説明

ITILにおける「ITサービス継続性管理」プロセスについて、その目的を問う問題です。

「ITサービス継続性管理」プロセスは、ITインフラに関する中長期的な計画策定・改善活動を対象とした「サービスデリバリ」に分類されます。このプロセスの位置付けを押さえておいて、「ウ」は「保証」というキーワードから「サービスレベル管理」を表すことが分かれば、解答は「ア」であると判断できます。

「イ」は「インシデント管理」、「エ」は「問題管理」を表しており、日々の運用に関連するプロセスが中心になる「サービスサポート」の分野に位置付けられています。

なお、2005年以降、高度分野の情報処理技術者試験では、ITIL関連の問題が毎年出題されており、合格を目指す受験者はこれらのITIL用語を確実に理解しておく必要があると言えます。


出題履歴

2007年秋期 AN/PM/AE 午前共通 問28





 過去問 5


問題

ITガバナンスを説明したものはどれか。

ア  ITサービスの管理・運用規則に関するベストプラクティスを、包括的にまとめたもの
イ  企業が競争優位性を構築するために、IT戦略の策定・実行をガイドし、あるべき方向へ導く組織能力
ウ  企業が情報システムやITサービスなどを調達する際、発注先となるITベンダに具体的なシステム提案を要求したもの
エ  サービスを提供するプロバイダが、品質を保証するため、提供するサービスの水準を明確に定義したもの


解答  「イ」  ← 解答を確認する際はこちらを範囲選択して下さい。


説明

「ITガバナンス」という用語の定義を問う問題です。

参考ページの説明にもあるように、ITガバナンスとは 「組織体・共同体が、ITを導入・活用するにあたり、目的と戦略や適切に設定し、その効果やリスクを測定・評価して、理想とするIT活用を実現するメカニズムをその組織の中に確立すること。」 を表します。

この問題は「ITIL」が選択肢の中に登場した出題例で、どれが「ITガバナンス」の説明に当てはまるのか自信が無かったとしても、ITILを説明している「ア」は消去法で除くことができるはずです。
情報処理技術者試験において、このような文言でITILが説明されていることは押さえておきましょう。

なお、「ウ」は「RFP」を表した説明、「エ」は「SLA」を表した説明です。


出題履歴

2007年秋期 AN/PM/AE 午前共通 問44
2009年春期 ITパスポート 問52


参考ページ

 @IT 情報マネジメント用語事典 - ITガバナンス


 過去問 6


問題

経済産業省の“システム管理基準”に該当する記述はどれか。

ア  ITIL という ITサービスの品質向上のためのガイドラインを基に作成した、ITサービスマネジメントに関するフレームワークである。
イ  一般基準、実施基準及び報告基準から構成されており、一般基準ではシステム監査人の独立性や職業倫理について規定されている。
ウ  システム監査業務の品質を確保し、有効かつ効率的に監査を実施することを目的とした監査人の行為規範である。
エ  情報システム戦略に基づき、効果的な情報システム投資のための、また、リスクを低減するためのコントロールを適切に整備・運用するための実践規範である。


解答  「エ」  ← 解答を確認する際はこちらを範囲選択して下さい。


説明

「経済産業省の“システム管理基準”」という用語の定義を問う問題です。「システム管理基準」については、経済産業省が公開している下記参考ページの資料が参考になります。

この問題は「ITIL」が選択肢の中に登場した出題例で、どれが「経済産業省の“システム管理基準”」の説明に当てはまるのか自信が無かったとしても、ITILを説明している「ア」は消去法で除くことができるはずです。
情報処理技術者試験において、このような文言でITILが説明されていることは押さえておきましょう。

なお、「イ」と「ウ」は「システム監査基準」を表した説明です。「システム監査基準」については、経済産業省が公開している下記参考ページの資料が参考になります。


出題履歴

2008年春期 システム監査技術者 問22
2008年春期 テクニカルエンジニア(システム管理) 問52
2008年春期 テクニカルエンジニア(情報セキュリティ) 問51


参考ページ

 経済産業省 - システム管理基準  (*PDF)
 経済産業省 - システム監査基準  (*PDF)
 ITIL V3ファンデーション資格認定試験 対策勉強法





 過去問 7


問題

ITILにおける問題管理プロセスとして実施するものはどれか。

ア  システムダウンから暫定的に復旧させ、業務を継続できるようにする。
イ  システムダウンに備えて、復旧のための設計をする。
ウ  システムダウンの根本原因を究明し、抜本的な対応策を策定する。
エ  システムダウンの発生を記録し、関係する部署に状況を連絡する。


解答  「ウ」  ← 解答を確認する際はこちらを範囲選択して下さい。


説明

ITILの「問題管理」プロセスについて、その業務内容を問う問題です。

どの選択肢も一般的には「問題管理」と言えそうな内容ですが、ITILにおける各プロセス・機能の定義を考えると、「根本原因を究明」や「抜本的な対応策を策定」というキーワードが含まれる「ウ」が「ITILにおける問題管理プロセス」として適切であることが明確になります。

なお、「ア」は「インシデント管理」を表した説明、「イ」は「可用性管理」を表した説明、「エ」は「サービスデスク」を表した説明です。


出題履歴

2008年春期 テクニカルエンジニア(情報セキュリティ) 問10
2008年春期 ソフトウェア開発技術者 問49


 過去問 8


問題

ITサービスマネジメントのベストプラクティスを集めたフレームワークであるITILには、サービスデリバリとサービスサポートの二つのサービス領域がある。次の管理項目のうち、サービスデリバリに属するものはどれか。

ア  インシデント管理
イ  キャパシティ管理
ウ  構成管理
エ  変更管理


解答  「イ」  ← 解答を確認する際はこちらを範囲選択して下さい。


説明

ITILの「サービスサポート」と「サービスデリバリ」に含まれる機能・プロセス群(合計11)を、それぞれに分類した上で把握していることが求められる問題です。

ITILファンデーションの資格保持者にとっては、この問題は簡単に解答を導き出せる“サービス問題”でしたね。繰り返しになりますが、少しでも不安を感じられた方は、こちらのページ の「ITIL基礎解説」をご覧頂き、ITILの中心に位置付けられる2つのカテゴリ「サービスサポート」と「サービスデリバリ」に含まれる機能・プロセス群(合計11)の定義や位置付けをしっかりと把握して下さい。


出題履歴

2008年秋期 ソフトウェア開発技術者 問51


 過去問 9


問題

SLAの項目として、ITILが推奨するものはどれか。

ア  移植性
イ  開発生産性
ウ  信頼性
エ  保守性


解答  「ウ」  ← 解答を確認する際はこちらを範囲選択して下さい。


説明

ITILにおける「SLA」の推奨項目を問う問題です。

「SLA」というキーワードから、ITILの中でも「サービスレベル管理」プロセスで定義される内容を問われていることが分かります。「サービスレベル管理」プロセスにおける定義では、「SLA」の項目として最低でも以下の項目が含まれていることが求められています。

  • 合意されたサービス時間
  • ユーザ応答時間
  • インシデント応答時間、解決時間
  • 変更要求への対応時間
  • ITサービスの可用性の目標値
  • セキュリティの目標値
  • ITサービスの継続性の目標値
  • 顧客とプロバイダの責任
  • 事業上重要な期間と例外(休日等)

深く考えると「変更要求への対応時間」と「保守性」は関係が無いとも言えないので迷うところですが、素直に考えると「ITサービスの可用性」と最も近いと言える「信頼性」が正解であると判断できます。

この問題は、これまでのITIL関連の問題より、ITILで定義される各プロセス・機能の役割に一歩踏み込んだ出題という印象を受けます。

また、2009年度の新試験制度で導入される「ITサービスマネージャ試験」の出題範囲は、まさに「ITIL」そのものです。この事実をふまえると、今後の高度情報処理技術者試験では、ITILファンデーションレベルの知識を問われる可能性があるので、注意して下さい。
「ITサービスマネージャ試験」だけではなく、「プロジェクトマネージャ試験」「情報セキュリティスペシャリスト試験」「システム監査技術者試験」の出題範囲として「サービスマネジメント」分野が挙げられています。


出題履歴

2008年秋期 上級システムアドミニストレータ 問19
2008年秋期 AN/PM/AE 午前共通 問25


参考ページ

 @IT 情報マネジメント用語事典 - SLA (サービスレベル・アグリーメント)
 ITIL V3ファンデーション資格認定試験 対策勉強法


 「ITIL」 関連の過去問題集&解説

 「PMBOK」「PMP」 関連の過去問題集&解説

 「システム管理基準」 関連の過去問題集&解説

 「システム監査基準」 関連の過去問題集&解説

 「SLA」「サービスレベル」 関連の過去問題集&解説

 「コンピュータフォレンジクス」 の過去問題集&解説

 「辞書攻撃」 の過去問題集&解説

 「ステガノグラフィー」 の過去問題集&解説

 「ソーシャルエンジニアリング」 の過去問題集&解説

 「ブルートフォース攻撃」 の過去問題集&解説


 ITIL V3ファンデーション資格認定試験 対策勉強法

 ITILファンデーション 模擬試験問題集&解説


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    転載元:情報処理技術者試験で出題された「ITIL」関連の過去問題集&解説

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