チップセットモデル図から考えるハードディスク性能比較

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チップセットモデル図から考えるハードディスク性能比較たとえ多くのハードディスクを連ねてRAID構成を組みディスクストレージ構成のIO性能向上を計ったとしても、接続するインターフェースによって性能限界が存在します。ここでは、IAサーバのチップセットモデル図から、IDE、SCSI、NAS(NFS)、SAN(FC)等、接続インターフェースの違いによるHDDの性能比較について考えます。

例えば、NASを100BASE-TXのネットワークで利用した場合、IDEで接続するHDDよりIO性能が低いということは、NAS環境の導入・利用経験のある方なら容易に想像できると思います。Windowsサーバによるファイル共有環境を想像して頂いても感覚がつかめるでしょう。あくまで通信のオーバーヘッド等を考慮しない理論上の数値になりますが、現在最も普及しているIDE(Ultra ATA/100規格)の最大データ転送速度が「100MB/sec」であるのに対して、100BASE-TXの最大転送速度は「12.5MB/sec」です。

NASを導入するシステムでIO性能が求められる場合、1000BASE-T、つまり最大転送速度「125MB/sec」のギガビットイーサネットを採用するケースが多いのは、このボトルネックを解消することを目的としています。(*1)

また、SCSI接続の場合はSCSIアダプター、SANの場合にはファイバーチャネル接続のためのFC HBA(ホストバスアダプター)が、PCIスロットに接続されることを注意して下さい。最近のIAサーバ製品では、最大転送速度「320MB/sec」のUltra 320 SCSIで接続可能なHDDが主流になっていますが、SCSIアダプターを32bit/33MHz(133MB/sec)のPCIバスに接続した場合、その性能を生かしきれないことになります。

ハードディスクの性能設計を行う際は、ディスク本体の持つスペックやRAID構成による性能向上に加えて接続インターフェースを考慮する必要があります。ハードディスクがどのインターフェースを経由して接続されるかは、次のチップセットモデル図を参考にして頂ければと思います。

チップセットモデル図
 

補記事項
  • (*1) 一般的に、市場に供給されているNAS製品は、同価格帯で供給されるSAN製品、DAS製品と比較して性能面で不利な状況にあることには十分注意して下さい。「Network Attached Storage」であるがゆえの宿命とも言えますが、ネットワーク転送部分がボトルネックとなるためです。
     
    ギガビットイーサネット環境が比較的安価に構築できるようになったとは言え、その最大スループットは「1Gbps=125MB/sec」。そしてこれは「理論値」であり「実測値」ではありません。また、そのギガビットネットワークもNAS環境のために占有できるとは限りませんし、経由するネットワーク機器が持つ最大転送能力にも当然影響を受けます。

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